


松本に、多くの人が信頼を寄せる、素晴らしい漢方医の先生がいらっしゃいます。 石川醫院の石川晶三先生です。
詳しくは醫院のホームページをご覧いただくのが一番ですが、そこは木の温もりに溢れたクリニックです。待合室には先生自らが活けたお庭の草花が飾られ、診察室に入ると、先生の背後にある素敵なお庭の緑が目に飛び込んできます。
訪れるだけで「氣」が整うように計算された空間からは、患者を心から癒そうという先生の意図が感じられます。細部までこだわり抜かれた空間に身を置くと、先生が思い描く理想の医師として歩む、静かな覚悟のようなものまで伝わってくるようです。「病院」ではなく昔ながらの「醫院」という漢字を使われていることにも、その想いが通じているように感じます。
昔はどんな病気も、大抵は町のお医者さんが解決してくれました。 いつからでしょう。医療がここまで細分化され、多くの人には滅多に必要のないはずの高度な治療が増え、何でも診てくれる町のお医者さんが減ってしまったのは。
石川先生も、こうおっしゃいます。
「普通の病気の中に潜むレッドフラッグ(見逃してはいけない重篤な病気の兆候)を見つける目を養うことが大切です。これは体全体を網羅する高度な技術を要するため、とても大変なことなのです。」と。
そんな先生と幸運にもご縁をいただき、先日、ランチをご一緒しながらたくさんのお話をさせていただきました。
今の医療の在り方、この先の理想、私たちがやりたいこと、生き物として、人として、親として、どう生き、どうありたいか。
心に残る言葉をたくさんいただきました。そして、中医学を志す者として、先生と考え方が似ている部分も多く、大先輩を前にしておこがましいとは思いつつも、とても嬉しい気持ちになりました。
たくさんのお話の中で、何度も行き着くキーワードがありました。 それは、「剥がしていく」ということです。
「これまでの人生で植え込まれた固定観念や、一方的な言葉、画一的な教育などを、一枚一枚剥がしていく作業が必要だ。」と先生はおっしゃっていました。
これらは、人間が本来持っている無限の可能性を狭め、自発的に感じる力を弱めてしまいます。だからこそ、そうして余分なものを取り払いながら、自分本来の意識に還る作業が必要なのだと、話していました。
これは、私が教室を運営する上で大切にしていることにも繋がります。それは、新しい知識を一方的に与えるだけでなく、その方が本来持っている力や意識を引き出すことです。その方の本来の意識と、実際に肉体から発せられている言葉(状態)にズレがある場合には、それも丁寧にお伝えするようにしています。
人は誰しも「こうありたい」「あんな風に生きたい」という本来の意識を持っています。しかし、時に「世間の常識」というフィルターに捉われ、その思いが押しつぶされ、「自分にはなれない」「できるはずがない」と思い込まされていることがあるのではないでしょうか。
そんな時に必要になるのは、自分の心と体に嘘をつかず、丁寧に言葉を紡いでいくこと。やりたいことを、一つひとつ行動に移していくこと。そして、今の自分に合ったものを、きちんと食べること。
そうした一つひとつが、実はとても大切です。私は中医学を通じて、皆さんが本来の自分に還るためのお手伝いができたら、と心から願っています。
この町に石川先生がいらっしゃる。それは本当に有難いことであり、そこに繋がることで、本来の自分に還る人がさらに増えていくだろうと感じました。
博学な石川先生は、たくさんの本も出版されています。 最近では『漢方エキス剤ポケットブック』という本を出版されました。 手に取りやすい薄さで、300円という驚きの価格です。 漢方に少しでも興味があるという方なら、どなたにでもおすすめできる一冊です。

ご興味のある方は、直接醫院でお求めいただくこともできますし、私からお渡しすることも可能です。 どうぞお気軽に、お声がけください。