陽虚(ようきょ)とは
夏でも下半身が冷えている、寒くて靴下を履いて寝る、体温が36℃以下。
加えて、疲れやすく、すぐに風邪をひいてしまう。
そんなあなたの身体は、陽虚の状態かもしれません。
陽虚とは、身体の中の熱を生み出す力が衰えてしまっている状態。身体全体に冷えを感じ、夏でも寒がりな人の事を言います。もしも自覚が無くても、体温が36℃を下回っている人は陽虚の可能性が高いです。
体温が低い事で免疫が活性化されず、風邪などの病気に罹りやすくなってしまいます。更に、癌になり易い人も体温が低い人なんて事が言われていますので、寒がりでなくても、低体温の方は是非、36℃以上を保てるように工夫してください。
陽虚の原因
ではなぜ、陽虚になってしまうかと言うと、
①生まれながらの体質
②服装や環境などの生活習慣
③冷たい物を食べすぎる
④外から温めすぎる事により、身体の熱産生が落ちてしまっている
⑤加齢
などが挙げられます。
若い世代は露出の多い服装が多いので、本人は意識なく、身体が冷えに傾いてしまっている方も多いです。
更に、中国の方からすると、日本人はお刺身などの生の食材を食べる文化があるけれど、あれは身体を冷やす食べ物だなんて風に見える方もいる位、日本人が冷たいと感じなくても身体を冷やす食べ物は多いそうです。
もっとも、氷入りの飲み物は体の内側に10℃以下の冷たい物体を入れていく行為ですので、必然的に身体の熱を奪っていく。それを、どの飲食店に入っても、サービスで沢山運んでくる。これでは、当たり前のように身体は冷えた状態となります。
陽虚の対策
では、どの様に対策していくかのお話をしていきます。
目標は体温が36℃以上になる事。もしそれ以下の方、又は体温がそれ以上でも、冷えを感じている方は是非、積極的に以下の項目を見直してみてください。
まず一番大切な事は冷やさない事。
対策する時に、いくら後から温めても、その原因となるものが取り除けていなければ、効果は半減しますので、まずは原因の除去から見直しましょう。
具体的な対策として、三首と言う、首・手首・足首の露出を控える事、寒い環境では普段よりも少し多めに着ておくこと、冷たい飲食物である、氷入りの飲み物や、生の食材をなるべく避ける事などが挙げられます。
次に、身体の外側だけでなく、内側から温める事。
よく寒さ対策と聞いて、沢山着重ねたり、ホッカイロを貼るという事が思い浮かぶかと思います。もちろん、これらも大切ですが、表面温度を上げるよりも、内側の温度を上げる方が、全体の温まりには効果的。つまり内臓を温める事の方が重要なんです。
お薦めは朝一番の白湯習慣
朝一番は内臓が空っぽの状態にあり、洗浄効果や、温め効果を発揮するパワーが高いです。お腹のお掃除にもなりますので、便秘の方も白湯を続ける事でお通じが良くなりますよ。
あとは、冷たい飲食物を避け、火の通った温かい食べ物、薬膳的に身体を温める食材を多めに摂る事をお勧めします。(※最後にお勧め食材を載せますね)
こんな話をする時に、よく質問される事。それは、「アイスが好きなんですが、食べちゃダメですよね?」
大好きな物、いきなりやめろなんて言われても無理ですよね。もちろん、食べすぎは冷えに繋がるので、控えて頂きたいのですが、
大好きな物=心の栄養
になっている方も多いと思っています。だからこそ、言われたから、全部ダメではなくて、自分の場合はどんな事なら工夫できるかなと言う視点で考えてもらいたいです。
具体的にアイスを例に取った時は、温かい紅茶と一緒に食べるのはどうでしょうか?や、冷えたビールが好きな方には、おかずは冷奴よりも火の通った物を、飲んだ後には温かい汁物やお茶で締めてみてはいかがですか?
などのアドバイスをさせていただきます。
生命力の要の腎
冷えを語る時に付きまとう事、それは、加齢によるエネルギー不足。
よく、「命を燃やす」なんて言葉が使われますが、その源のエネルギーは東洋医学では腎が生み出していると考えられています。
東洋医学で扱われる腎とは、尿を作り出す場所と言う概念以外にも生命力の要の位置であり、広く丹田や生殖機能のある腰回りを表す言葉です。つまり、腰回りの血流や筋力アップを目指す事により、アンチエイジングに繋がるだけでなく、身体全体の熱産生も促されるのです。
効果的なトレーニングはスクワット。太もも前側の大きな筋肉を強化することによって、熱産生が大きくなり、また、転倒リスクなどの軽減にもつながります。また、腰回りには生殖器官が沢山ありますので、この辺りの血流を良くしておくと、妊娠出産加齢に伴う変化に対応しやすくなるという特徴も持っています。
巡る力
最後に、巡る力について。
今まで、シリーズで、身体を作っている気・血・水について沢山お話ししてきましたが、どの項目においてもとても大切な事。それは、ストレスを溜めず、笑って日々を過ごす事。
これは「氣」を巡らす事に繋がっているのですが、「氣」は動く事で、血や水の巡りも良くなるなんて事が知られています。つまり、ストレスを溜めずに笑って過ごす事で血流もアップし、身体を末端まで温めてくれる効果が高くなります。これは交感神経、副交感神経と言った西洋医学的な観点からも容易に説明がつく事です。ストレスは交感神経優位な身体になり、血管を固くして、血流を悪くします。逆にリラックスした状態は血管が緩み、血流が身体の隅々まで流れます。
どんなに頑張って身体の対策をしていても、ストレスフルな生活だと効果半減。
是非皆さん、自分を大切に。楽しく、笑って過ごす日々をお過ごしください。
陽虚体質チェック
体温36℃以下、寒がり、しもやけが出来る、浮腫みやすい、疲れ易く、風邪をひき易い
陽虚にお勧めの食材
鶏肉、海老、鮭、シナモン、紅茶、スパイス、にら、生姜、かぼちゃ、栗、くるみ など