西洋医学と東洋医学のいいとこ取り

少しずつお伝えしている中医学の教え。皆さんの中にもなんとなく、東洋医学の世界観が浸透してきましたでしょうか?

そうは言っても、私たちが普段お世話になるお医者さんは、主に西洋医学の考え方。
大きな病気、今困っていることがある場合や生死に関わる事は、西洋医学の教えがなくてはならない考え方です。

西洋医学と東洋医学はそれぞれに得意、不得意があります。
現代においてはどちらの教えも享受できますので、それらのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、常に自分に合った治療が選択できる人が増えてほしいと切に願っています。

人の健康を木に例えると

人間の健康状態を一本の木に例えて説明します。
緑の葉が繁る木を健康な状態と捉え、葉が枯れてしまうことを病気の状態と捉えます。
そんな時に、西洋医療が得意なことは、素早く枯れた葉を緑の葉に貼り替えること。さらに、枯れてしまった枝はバッサリと取り除くことも可能です。
早く元気にできる一方で、葉が枯れた原因がなくなった訳ではないので、又同じ葉が枯れ始めたり、一つの枝が綺麗になっても、また別の枝が枯れ始めたりするデメリットも存在します。

一方、東洋医療が得意なことは土や根っこの状態を整えて、木全体を元気にしていくこと。葉が枯れてしまった原因である土壌の状態を整える為、全体的に元気にする力がある一方、一度枯れてしまった枝を再生するほどのパワーがなかったり、はたまた再生にとても時間がかかったりします 。

歯が痛い時はすぐに何とかしたいし、逆に頭痛など慢性の痛みの時は原因を取り除きたいですよね。だから私たちはその時必要な治療で体を整えることが大切です。

薬膳は毎日取り入れても安全な分、作用が穏やかです。 逆に薬は効果が強い分、万人に使えるわけではなく病気の人がその時の症状に合ったものを選択する必要があります。 これらの違いやメリット、デメリットを理解することにより、適切な場面で適切な医療を選択することが可能となります。

東洋医学が得意とするのは、日々の土台の立て直しです。 お医者さんに行くまでの間、日々自分の体を見つめ、自分の体から発せられているサインに敏感になり、自分で自分の健康を管理する。それが東洋医学の得意とすることです。
私たちの体は日々多くのサインを発しています。 決して難しいものではなく、顔色、声の張り、目の力強さ、大便、小便など、自分でも多くのサインを読み取ることが可能です。自分の体の状態を知ることにより、病気になる前の未病の段階でセルフケアに取り組むことが可能です。

具合が悪くなってからお医者さんに行くのではなく、サインが出た段階で、自分で養生に取り組む。
また、毎月の受診がある方は、ただ薬をもらって飲むだけでなく、日々変化する自分の体に寄り添い、次の受診までの間に自分で出来る養生に取り組む。
これらをすることにより、今までよりも更に健やかに過ごせる人が増えると思っています。

より多くの人が日常で使える薬膳や、東洋医学の養生を生活に取り入れることにより、今までよりも生き生きと暮らせる人が増えて欲しいと願っています。

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