薬膳の誤解

薬膳はマッチングと組み合わせとタイミング

先日、去年の生徒さんとお話をしていて、こんな話になりました。
生徒さん曰く「薬膳っていう物が、周りの方になんだか理解してもらえない気がしています…」と。

薬膳って、全然特別な物じゃない!
どんな人にでも、絶対ためになる。そんな風に思っている私にとっては、巷の薬膳がまだまだ誤解だらけだなと、いつも感じてしまいます。

どんな誤解かというと…
薬膳ってあれですか?  漢方とか使う…
薬膳ってあれですか?  玄米菜食の…
薬膳ってあれですか?  お寺で食べる…

どれも突っ込み所満載ですが、3つ目とか、もうそれは精進料理ですから、って。
たまに宗教みたいとか、思想の話なんて捉える方もいる位、なんだか変な誤解ばかりが先行してしまっています。

初めにお伝えしておくと、私は現役の薬剤師なので、あまりにも非科学的なトンデモ話は全然信じませんし、閉じられたコミュニティーで口伝のようにやり取りされる、それっぽい話でも、突っ込み所があれば、そのお話しは全然信じません。
だけど、薬膳に対しては、自分が薬剤師という視点で体感してみて、確かに色々な点でメリットが多かったので、それを多くの人にお伝えしたいと思い、現在の活動に至りました。

かつての私もそうでしたが、とても遠い世界の特別な料理だという誤解が先行してしまい、このお知恵を享受できていない現代の人はとても、もったいないとも感じています。

では、そもそも薬膳は何?といわれると、

中医学理論に沿って、食養生・食療法を目的として作られる料理です と定義されます。

でも、これも少々わかりずらい。

という事で、私の中で薬膳とは、

マッチングとタイミングと組み合わせ

と、定義しました。

マッチングとは、どんな時に、どんな食材を使うか、
タイミングとは、どの位の量をどんなペースで食べるのか、
組み合わせとは、それらを組み合わせる事による相乗効果

こんな風に捉えてみました。

マッチングとタイミングには、薬膳に含まれる意味を覚えたり、身体の事など色々と学んでいく必要があり、そこには一定の手間や時間がかかります。
でも、使う食材に関しては、普段私たちがいつも口にしている食材ばかりです。
ある程度、本などを参考に、この食材ってこんな働きをするんだーって、知っていきます。
そう、お薬を症状に合わせて使う時の様に。そして、効果のある食材を数種類組み合わせて、今ある自分の症状改善に取り組んで、成りたい自分になっていく。

それが、薬膳です。

ただ、薬膳のすごい所は実はそこだけでは全然ないんです。

薬膳のすごい所とは?

薬膳のすごい所は、自分で自分をケアする喜びを体感できるって事だと思っています。

私は医療従事者で、今までざっと数えても延べ数万人の方へお薬をお渡ししてきました。
私たちが自分の病気や身体と向き合う時に、誰よりも自分の身体を理解しているのは自分だ!と言い切れる方は少ないんじゃないかなと、思っています。
数値や病名にばかり目を向け、捉われてしまうあまりに、今の自分は調子がよかろうと、悪かろうと、お医者さんの言ったとおりの状態が全てだと思ってしまう方も多いと思っています。

もちろん、お医者様の診断や、助言は大切な事を大前提として、それでも、次回病院や薬局に罹る前に、おうちで自分でできる事ってないのでしょうか?

これに対して、薬膳的な観点から、こんなことをしてもらうと、もっと身体が良くなりますよ。とか、
こんな物を食べたら今の状態に合っていますよ。とか、
はたまた、身体のケアだけでなく、心の状態も聴き取りをして、それが身体とどのように関係しているかを伝えてあげたりだとか。

そんな事をお話しすると、その時、患者さんの目が、キラキラ~~~と輝くのを私は何度も目の当たりにしています。

ただ、言われたとおりにお薬を飲むだけが治療、
数値を正常値に安定させるためだけが治療、
そんな風に思っていた方々が、日常に少し意識を向けるだけで、まだまだ自分の身体のために出来る事、たくさんあるんだーって。
それを知った時、ある種の生きがいの様な物を感じているのかな、と思うほどに目に輝きを取り戻すのです。

そして、その後、こんな風に口にされる方が多かったです。

「あなたとお話しできてよかったです。」

この経験こそが、私の生きがいとなり、慣れない講師への道を切り開いたきっかけの出来事です。

つまり、何が言いたいかというと、人は、自分の事をもっと知ろう、自分の為に出来る事をもっとやろう。
そんな風に思った時に、生きる喜びや輝きを増すのではないのかなと思っています。

そして、薬膳にはそれを与えうる可能性が多分にあると信じています。
まだまだ、本当の意味で、薬膳という物が市民権を得ていないとは感じていますが、後に続く生徒さん達が、胸を張って、薬膳を習っています、是非皆さんも一度学んでくださいね。って言える日が来るように、私も精進いたします。

是非、あなたの生活にも、当たり前に薬膳を取り入れて、自分を大切にしてもらえたら嬉しいです。

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